◆ファンタジー要素の少ない1章半ばまでをショートカットするためのダイジェスト版もございます。
 * 1 章『出会い(1)』 - 『衝突(3)』ダイジェスト/  * 1 章『接近(1)』 - 『陰謀と衝撃(2)』ダイジェスト/

出会い(1)

「うわぁ!遅れるっっ」
9月1日-----家のドアを蹴っ飛ばし、片手にカバンを抱えたセーラー服の少女がマンションの階段を駆け下りていく・・・・・・
本当はマンションのエレベーターを使えばいいのだが、あまりにも慌てているのでそんなことは忘れているらしい。

彼女の名は「栃野岬」------。


「セーフッ」
ばんっ、と2-Aの教室のドアを勢い良く開けると、中のみんなの視線がいっせいに岬に集まってしまった。
幸い、担任はまだ来ていないらしかった。
「まぁったく!ドア壊さないでよね!!」
親友の大島圭美が苦笑しつつ、いち早く岬の近くに寄ってきた。
「きゃ?っ!久しぶりーっ!!」
「とうとう学校始まっちゃったよねぇ」
久しぶりに会う友達もいるため、新学期の教室はいつもにまして騒がしい。特に女のコは。
男子の「アホかこいつら?」という視線もなんのその、岬たちはかわるがわる抱き合って再会を喜んだ。

「そういえば・・・・・・」
いつも一緒に行動しているうちの一人の晶子が目を輝かせて話し始めた。「---今日、うちのクラスに転校生くるらしいって聞いた?」
「なになに!?聞いてないよ!?」
圭美が聞き返す。
「なんかね、私、見ちゃったの!!すっごい背の高い男の子がMs.石倉と何やらいろいろ話してたのを!」
ちなみに---Ms.石倉とは岬たちの担任である。もういい年だというのに独身でいるのでこう呼ばれている。
「何それ?・・・・・・高校で、しかもこの時期に珍しいよねぇ?帰国子女とかかなぁ?」
岬はう?んと首をひねった。
「で、その転校生、美形だった!?」
この話を他のグループの子たちも聞きつけたらしく、脇から話に入ってきた。
晶子はまるで自分のことのように、自身満々の笑みを浮かべた。

「ふっふっふ???もう、すんごい美形!!」

あたりの女子の反応といえば・・・・・・壮絶な盛りあがりであった----

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