* 1 章『出会い(1)』 - 『衝突(3)』ダイジェスト/ * 1 章『接近(1)』 - 『陰謀と衝撃(2)』ダイジェスト/
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白い夢(1)
その夜・・・・・・・・・・・・岬は不思議な夢を見た。
暗闇の中で自分はさまよいつづけていた。
真っ暗で何も見えない。
「ここは・・・・・・どこ・・・・・・?」
尋ねてみても、答えてくれる声もなければ、物音ひとつしやしない。
「やだ・・・・・・・・・・・・」
力なく岬はつぶやく。泣きそうになる・・・・・・。
心の何処かでこれが夢だと分かっているのに、それでも。
一筋の光が見えたのは、どのくらいたった後だろうか・・・・・・?
本当は多分、ほんの少しの時間だったのだろうが、岬にはそれまでの間がすごく長い時間に感じられたのだ。
その光はだんだんと岬の方に近づいてきた。初めは救世主のように見えたその光が近づくにつれ、岬はこれまでの暗闇の恐怖とは違う恐怖を感じた。それはだんだんと大きくなる-----!!
------------ぱあっ---------
その光が岬の近くで爆発する・・・・・・!!
と、同時に、自分の名を呼ぶ声が聞こえた・・・・・・。
「誰ッ!?」
岬は振り返るが、周りには何も見えない。さっきの暗闇が一転して白い世界に変わっただけだ。
一体どこから聞こえてくるのか・・・・・・岬の名を呼ぶその声はゆっくりと話し始めた。男の声だ、しかし年齢が分からない。若い男とも、初老の男ともとれる不思議な声----。
「私はお前に害をなそうというわけではない・・・・・・」
岬の警戒心が伝わったのか声の主はまずそういった。そして、続ける。
「栃野岬-----奈津河の血を引くお前に・・・・・・・・・・・・ぜひとも話しておかなければいけないことがあるのだ・・・・・・・・・・・・」
岬の返答を待たずに、その声は続ける。
「これから話すことは、歴史上では語られることのないものだ。だが、確かにあったことだ。どうか真剣に聞いてほしい」
そう、前置きをすると声の主は淡々とした口調で語り始めた。
--------千年以上も前から、時の為政者たちに力を貸してきたふたつの一族がある。ひとつは"奈津河"そして、いまひとつは"竜"という一族・・・・・・。どちらの一族も【神から授けられた力】を操ることができた。それは心にねがう事を現実にしたり、手を触れずに病や傷をを癒したり、またその逆に他人を呪う事も可能であった。その力が為政者たちの目にとまり、ある者は"奈津河"を、またある者は"竜"を取り込み政治を操った。奈津河一族と竜一族の力は互角であり、その権力をめぐってどちらが為政者により気に入られるかということで絶えず争っていたのだ。しかし、いくら争えども力の互角さゆえに決着はつかなかった。
お伽話のようなその内容なのに、岬はなぜか笑うことができなかった。
どうしてだかは分からない。
けれど、無条件に、この話を真実として信じている自分がいるのだ。
「ということは・・・・・・今も・・・・・・ってこと・・・・・・?」
岬は呆然と口にしていた。